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スクラムマスターが読む『「僕たちのチーム」のつくりかた』の読書感想文

こんにちは。システム開発部のsonohaです。普段はニフティ温泉のWEBサイトの開発全般を担当しています。

先日スクラムマスターの資格を取得したので、フレームワークとしてのスクラムの作法は心得ている自負があります。
さらなるスキルアップを目指すために、スクラムを抜きにしたチームビルディングやリーダーシップについても知見を得たいと思い、今回は伊藤羊一さんの『「僕たちのチーム」のつくりかた』を読んでみることにしました。
スクラムとの共通点や相違点などを含めた感想や、それを受けて実際に私たちのチームで取り組んでいることについてまとめていきます。

目次

本書の内容紹介

『「僕たちのチーム」のつくりかた』の出版元の書籍紹介ページを引用します。

商品説明

□高い数値目標に追われて焦っている
□チームメンバーのモチベーションに温度差がある
□自分一人でリードしていく自信がない
□もっとチームメンバーの強みを引き出したい
そんな、リーダーシップの理論だけではどうにもできない悩みを抱える、たくさんの「僕」へ。

本書では、一人ひとりの強みを活かし、成果に向かってともに進む「フラットなチーム」のつくり方を、1on1、会議、プロジェクト、ゴール設定など具体的なカテゴリごとに紹介する。

・多様性のあるチームが新しい価値を生む
・1on1で話を引き出す3つの質問軸「5W1H」「具体と抽象」「広げる・深掘る」
・リーダーはどこまで口を出すのか? etc.

目次

序章 リーダーの最優先事項は「メンバー一人ひとりの強みを活かしきること」
1章 個々の強みを活かすチームの「フラットな場」
2章 指示よりも大切な「聴く」行為
3章 みんなが主体的に話す「会議」のつくりかた
4章 チームでゴールを決める
5章 組織を超えて集まる「ヨコの場」のつくりかた
6章 みんなで踏み出す
終章 あなたはどうする?

引用元:「僕たちのチーム」のつくりかた | ディスカヴァー・トゥエンティワン – Discover 21

この本は全部で8章構成になっており、各章で章題に沿ったリーダーのあるべきスタンスとアクションが記されています。
主にフラットな組織を作ること、そのために必要な1on1ミーティングの重要性やファシリテーションのスキル、目標の設定方法、組織横断案件での身の振り方について言及しています。

詳細については、実際に書籍を購入してお読みください!

感想・所感

総じて、ベースの思想はスクラムと近いものがあり、ある程度の範囲はフレームワークでカバーできると感じました。
一方、個人と組織横断の領域に関しては、本書から学ぶべき部分も多いです。

スクラムとの共通点

スクラムでは、メンバー一人ひとりが自律的に動いて、チームの持つ課題の解決にアジャイルに取り組むことが求められます。
自律性を支え促すにあたっては、本書にあった「ヒエラルキー型」チームではなく「フラット型」チームにすべきという点も重要ですし、分かりやすくゴールを設定しそれに集中できる環境を作ることも極めて重要だと考えます。このあたりは、スクラムの価値基準で言う「尊敬」「確約」「集中」に該当しそうです。
また、チームとして成果を得るには「小さく踏み出す」「みんなで踏み出す」べきという点もその通りで、このあたりはスクラムの価値基準で言う「勇気」「公開」に該当しそうです。

会議体・ゴールの設定・振り返りについてはスクラムがフレームワークとして定めてくれているので、そこに乗っかることである程度の質は担保されると思います。

  • 会議(=スクラムイベント)
    • デイリースクラム
    • スプリントレトロスペクティブ
    • スプリントプランニング
    • スプリントレビュー
    • ※それぞれ話すべき「イシュー」が明確で、経験主義がバックボーンにある
  • ゴール
    • 会社としてのパーパス・ミッション・ビジョン(=「長期ゴール」)
    • プロダクトゴール(=「中期ゴール」)
    • スプリントゴール(=「短期ゴール」)
  • 振り返り
    • スプリントレトロスペクティブ(=プロセスの振り返り)
    • スプリントレビュー(=成果物の振り返り)
    • デイリースクラム(=軌道修正)
    • スプリントプランニング(=軌道修正)

スクラムとの相違点

スクラムで定義されていないチームビルディングの観点として、1on1ミーティングと組織横断の考え方がありました。

スクラムではチームとしての動きにフォーカスしているため、個人の動きについては「5つの価値基準」と「自己管理化」という言及のみにとどまります。
実際に働くメンバーは日々さまざまな葛藤を抱えており、もしそれが「確約」や「集中」を削ぎスプリントゴール達成の妨げになるのであれば、その葛藤や障害を排除するのはスクラムマスターの役目です。排除する手段のひとつとして、本書にあった1on1ミーティングの実施は非常に有効であると感じました。

また、スクラムはそもそも兼任・兼務を良しとしていないため、組織横断の概念には触れていません。
実際の業務の中では組織横断でのタスクフォース案件などが発生しうるので、そのときにどのような点に注意をすれば良いか、本書は参考になると感じました。(ただし、組織横断案件に既存のスクラムチームを巻き込むべきではないので、スクラムマスターは組織横断案件を発生させているステークホルダーに掛け合ってチームを守るか、または一時的なスクラムチームの解散という選択をとる必要があると考えます。)

ニフティ温泉開発チームで実践していること

以上の所感に関連し、ニフティ温泉開発チームでは次の2つのことを実践しています。

定期的な1on1ミーティング

のべ月1回以上のペースで、チームリーダーとメンバーとの1on1ミーティングを実施しています。
一般的には、目標面談や評価面談、およびその付近でのみ1on1ミーティングを実施する組織も多いかと思いますが、本書にもあるとおり定期的な実施が重要と考えています。
これを経て、メンバーやチームのWillとCanのギャップを考えたり、どうやったら事業が面白くなるかを考えたり、ときには人生そのものについて考えたりと、相互理解を深めています。

越境チャレンジ

ニフティライフスタイルで活躍するメンバーは「境界を越える」ことが多い、という傾向があります。境界を越えるとは、自分に与えられた責任範囲や業務領域を越えて、提案や挑戦を行うことです。

ニフティ温泉開発チームでも同様に境界を越えるようなチャレンジを良しとしており、例えば、開発メンバーが市場調査や機能企画をしたり、フロント畑のエンジニアがクラウドエンジニアリングに挑戦したり、一般メンバーが経営層と一緒に機能要件を詰めたりなど、形は様々です。
その過程で他の領域のメンバーとのコミュニケーションも生まれるため、組織横断案件が発生した際にも柔軟に対応できることが多いです。

まとめ

今回は伊藤羊一さん著の『「僕たちのチーム」のつくりかた』を読み、スクラムと比較しながら感想をまとめてみました。

スクラムでカバーできる部分もありつつ、スクラムガイドで定義されているのはあくまでスクラムというフレームワークのルールのみなので、実際の業務の中でどうチームを良くしていくかについては、様々なアプローチがあると改めて分かりました。
スクラムマスターは最高のチームを作るためなら何でもやるロールなので、個人にフォーカスして1on1ミーティングを定期的に実施したり、みんなで踏み出せるような心理的安全性を構築したり、本書にある様々なアクションに取り組めると良さそうです。

参考になる部分がありましたら幸いです。(本の内容が気になった方はぜひ読んでみてください!)
最後までお読みいただきありがとうございました。


ニフティ温泉では一緒にプロダクトとチームを盛り上げていく仲間を募集しています。
エンジニアの採用も積極的に行っていますので、ご興味のある方は、ぜひお気軽に採用ページよりご連絡ください。

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掲載内容は、記事執筆時点の情報をもとにしています。