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スクラムマスター資格「PSM I」取ってみた

こんにちは。システム開発部のsonohaです。ニフティ温泉のWEBサイトの開発全般を担当しています。

先日スクラムマスター資格である「Professional Scrum Master I」に合格したので、試験までの流れと試験対策、得られたことについてを書いていこうと思います。

目次

Professional Scrum Master (PSM)とは

Professional Scrum Master略してPSMは、スクラムガイドの共同作成者のひとりであるKen Schwaberによって設立されたScrum.orgが認定しているスクラムマスター資格です。

PSMには3つのレベルがあり、今回私が受けたのはPSM Iになります。

  • PSM I
    • レベル:基本
    • 内容:スクラムについての一貫した用語とアプローチを理解していることを検査します。
    • 全世界での合格者数:555,963(2023年3月1日 時点)
  • PSM Ⅱ
    • レベル:高度
    • 内容:スクラムを現実世界に適用し、複雑な問題を解決するスクラムマスターの能力を検査します。
    • 全世界での合格者数:29,187(2023年3月1日 時点)
  • PSM Ⅲ
    • レベル:卓越
    • 内容:さまざまな複雑なチームや組織の状況を踏まえたスクラムの実践と、スクラムの価値観への深い理解を検査します。
    • 全世界での合格者数:1,080(2023年3月1日 時点)

また、スクラムマスターだけでなくプロダクトオーナーや開発者用の資格も用意されています。

他のスクラムマスター資格との比較

他の団体が認定しているスクラムマスター資格もあります。
それぞれの特徴をまとめると次のようになります。

PSMCSMRSM(旧LSM)
正式名称Professional Scrum Master™Certified ScrumMaster®︎Registered Scrum Master®
認定団体Scrum.org™Scrum Alliance®︎Scrum Inc.
研修要否任意必須必須
試験設問PSM I:80問
PSM Ⅱ:30問
PSM Ⅲ:30問
50問30問
試験時間PSM I:60分
PSM Ⅱ:90分
PSM Ⅲ:150分
60分制限なし
合格基準85%以上正答74%以上正答75%以上正答
試験言語英語日本語日本語
試験費用$150$3200(研修込み)22万円(研修込み)
資格有効期限なし2年間1年間

当社の親会社にあたるニフティ株式会社(以下「ニフティ」)のA-CSM保持者にこれらの違いを伺ってみたところ、扱っている内容に大差は無く、認定団体の違いによるところが大きいとのことなので、気になったところを受けてみるのが良さそうです。

私は、研修任意でリーズナブルである点からPSMを受験することにしました。

PSM I 資格試験の受験方法

受験までの流れをご紹介します。
PSMの資格試験は、申し込みから受験まで全てオンラインで完結します。

まずは受けたい資格試験のページにアクセスします。
https://www.scrum.org/assessments/professional-scrum-master-i-certification

認定資格説明ページ

PSMに関する説明の後に「Buy」というボタンがあるのでそれを押下し、クレジットカード情報など必要事項を入力して購入を完了します。なお、個人情報は英語で入力する必要があります。

カートページ
個人情報入力ページ
クレジットカード情報入力ページ
購入完了ページ

正常に購入を完了すると、登録したメールアドレス宛に受験に必要な試験パスワードが送信されます。
また、同メールに受験までの手順が書かれています。

購入完了メール

メールの案内に従い、Scrum.orgのWEBサイトに会員登録します。

会員登録ページ

必要情報を入力し「Register」を押下すると、次のような成功メッセージが表示され、仮登録状態となります。

仮登録完了メッセージ

登録のメールアドレスに送信されたメールの案内に従いアカウントパスワードを設定すると、本登録が完了となります。

仮登録完了メール
アカウントパスワード作成ページ
アカウントパスワード入力ページ

本登録が完了したら、購入完了時に受け取ったメールに記載の「PSM Ⅰ start page」にアクセスします。
試験パスワードを要求されるので、メールに記載の試験パスワードを入力します。

PSM Ⅰ 開始ページ

「Start」を押すと試験開始となります。
Google翻訳Chrome拡張機能の利用が推奨されているため、「Start」ボタンを押す前に用意しておきましょう。

PSM Ⅰ 試験ページ

1ページ目は試験の概要説明となっており、「Continue」を押すと制限時間のカウントが始まります。

無事に試験に合格すると、次のような証書が発行されます。

PSMⅠ資格証明書

合格に向けてやったこと

スクラム導入勉強会

私のチームは昨年6月からスクラム開発を始め、今ではスプリント40に到達しています。

一番初め、スクラムを導入するにあたっては私が率先して旗を振り、スクラムに関わるであろうメンバーを集めて勉強会を開催しました。

まずは私一人がスクラムガイドや関連記事を一読し、レポートとしてまとめていきました。
その後、メンバー全員で2週間かけて毎日30分の時間をとり、スクラムガイドの輪読と私からの解説を行いました。
この時点では解説を行なっている私自身も初心者であったため解説内容にはあまり自信がありませんでしたが、単に書籍などを読むだけよりも他者に教えるというアウトプットを行うことで効率的に理解を進めることができたのではないかと思います。
(他者に教えることで自身の理解が促進されることは、ラーニングピラミッドという名前でよく議論されています。)

日々のスクラムの実践

スクラムを実際に導入し、日々実践することでスクラムへの理解を深めていきました。
やはり実践することで、座学だけでは得られない気づきや納得を得られるように思います。

具体的には、

  • タイムボックスをきちんと守るのが難しい → 意識することで自ずとタイムボックスを覚える
  • タスクが溢れてしまうことがある → キャパシティという概念に気づく
  • 必要な作業が終わったのか終わってないのか曖昧になる → 完成の定義の重要性を理解
  • スプリントバックログが動かずマンネリ化 → 検査・適応可能な粒度を意識するようになる

などの気づきを得られました。

スクラムマスター交流会

月1回の頻度で、ニフティのスクラムマスターと交流会を実施していました。

チームによって抱えている課題が異なるため、それをスクラムマスター同士で共有して、スクラムガイドに立ち戻ってどう対処すべきなのかを議論するのがメインでした。
回によっては「プランニングに関するノウハウ」「プロダクトオーナーの支え方」などあるテーマに絞って議論を行ったり、スクラムガイドの特定のセクションにフォーカスして深掘りして読んでいったりすることもありました。
また、互いのチームでの気づきや経験をアウトプットするために、技術書典での技術書頒布なども行いました。(私はこちらの記事を寄稿しました。)

自分のチームだけでは気づけない課題や問題点をきっかけにさらにスクラムの理解を深められる場として、非常に有用だと感じています。

Scrum Open Assessment

Scrum.orgも試験対策のためのコンテンツを用意してくれています。
https://www.scrum.org/resources/suggested-reading-professional-scrum-master

私はまず大事そうなブログや記事に目を通しました。

その後インプットした内容をアウトプットするために、Scrum Open Assessment、いわゆる模擬試験を数回受験しました。
Scrum Open AssessmentはWEB上でいつでも何度でも無料で受験することができます。
形式は本番の試験に近いですが、問題数は30問、試験時間は30分と、ややコンパクトになっています。

私はOpen Assessmentで90%以上の成績を安定して取れるようになってから本番の試験を受けようと計画していました。
私のOpen Assessmentの結果の推移は次の通りです。(一部メモを忘れていたので曖昧です。)

  • 1回目:75%程度
  • 2回目:90%超
  • 3回目:83.3%
  • 4回目:96.7%
  • 5回目:93.3%

資格取得補助制度の確認

おまけですが、資格取得の金銭面について確認です。

当社ニフティライフスタイルには、資格試験に合格すると受験費用を会社が補助してくれる福利厚生制度(上限あり)があります。私はこれを利用したため、自己負担0円で受験することができました。

仮に会社にそのような制度が無かったとしても、国の制度を使えば受験費用が一部還付される場合があるようです。国税庁の給与所得者の特定支出控除等を確認してみることをお勧めします。

PSMはCSMやLSMよりは安いとはいえ、決して小さな金額ではありません。
金銭的な心配がなくなることで、勉強に集中することができます。

得たこと・所感

自信がついた

資格を取得するために体系的に学び直したことと、実際に受験して合格できたことで、スクラムマスターの知識に自信がつきました。
スクラム導入時には「これで合っているのか?」と不安になりながらチームメンバーにスクラムの解説をしていましたが、今なら自信を持って解説ができる気がします。

私は今の社内開発メンバーの中ではスクラム導入のパイオニアになるので、他のチームからスクラムの導入やチーミングについて相談を受けることがあります。
資格保持者という箔が付いたことで、今後より一層相談に乗る場面が増えるかもしれません。
その際にも臆せずアドバイスができるような気がしています。

ウィークポイントが分かった

試験の模範解答は公開されませんが、試験の成績表からカテゴリごとの正答率を確認することができます。

次に示すのは、私の実際の成績表です。

試験の成績表

学生時代に教員免許を取得したというバックボーンがあるためか、コーチングとメンタリング、経験主義、スクラムの価値観などの教育的・思想的なカテゴリは得意でした。
一方で、PjMやPdMとしての知識が必要な、プロダクトバックログ管理、プロダクトの価値、予測とリリース計画については苦手なようでした。

自分のスクラムに関する理解の得意・不得意が明確になったので、実際のスクラム開発においても得意な部分は積極的に活かしつつ、苦手な部分は他のメンバーの力を借りたり吸収したりするよう、意識しながら動きやすくなったように思います。

まとめ

今回はスクラムマスター資格「PSM I」を取得したので、試験までの流れと対策、そして得られたことをまとめていきました。

CSMやLSMなど他の資格もありますが、PSMは研修参加が任意かつ試験もオンラインで完結して受験できるため、他の資格よりも心理的ハードルが低いように思います。
合格するためには、個人的にはインプットだけでなくアウトプットしながら勉強していくのが大事だなと感じました。

資格を取得するだけでとどまらず、ここからさらにより良いプロダクト開発につなげるために、得たものを実践で活かしていきたいと思います。

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掲載内容は、記事執筆時点の情報をもとにしています。