iOSDC Japan 2025 に参加しました!
はじめに
「ニフティ不動産」アプリのiOS開発を担当している、ryu-kobayashiです。
先日(9月19日〜9月21日)開催された、iOS関連技術をコアのテーマとした、ソフトウェア技術者のためのカンファレンス「iOSDC Japan 2025」に現地参加してきました。
iOSDC Japanは初参加だったのですが、とても勉強になるカンファレンスだったので、その感想を紹介しようと思います。
iOSDC Japan 2025 の開催概要

(写真:iOSDC Japan 2025 Googleフォトより)
- 0日目(前夜祭)(9/19(金) 16:00-20:00)
- Swiftコードバトル(呈示されたお題を満たすプログラムをSwiftで短く書けた方が勝ち、という1 vs 1のガチバトル)
- 1日目(9/20(土)10:00-18:00)
- オープニング
- 一般参加やスポンサーの方々による様々なトーク
- ルーキーズLT(初登壇の方向けのLightningTalkセッション)
- 2日目(9/21(日)10:00-18:35)
- 一般参加やスポンサーの方々による様々なトーク
- 通常のLT
- クロージング
参加動機
今回iOSDC Japanに参加したのは、自社以外のエンジニアが普段どのようにiOS開発へ取り組んでいるのか、その実情を知りたいと思ったことがきっかけです。
また、日々の開発で直面する様々な課題に対して、他の開発者がどのようなプロセスやアイデアで立ち向かっているのか、その具体的な事例を学びたいという思いもありました。
特に学びのあったセッション
本カンファレンスで特に学びのあったセッションを一部紹介します。
そろそろFormatStyle
このセッションでは、FormatStyleプロトコルについて、従来の日付フォーマット(DateFormatter)との比較を交えながら解説されていました。
私自身、日付のフォーマットといえばDateFormatterを使い、 "yyyy/MM/dd" のようなフォーマット文字列を指定する方法が一般的だと思っていました。しかし、この方法には以下のような課題があるとのことです。
- AIが提示しがちだが、Appleが公式に推奨している方法ではない。
- フォーマット文字列のミスがコンパイル時にチェックされず、実行時の目視確認が必須になる。
セッションでは、これらの課題を解決するFormatStyleの使用が強く推奨されていました。
data.formatted()のように直感的に呼び出せるDateFormatter()のような煩雑なプロパティ設定が不要になる- デフォルトで46種類ものスタイルが用意されており、拡張性も高い
文字列指定によるバグはヒューマンエラーとして起こりがちなので、今後はFormatStyleを積極的に活用し、より安全で可読性の高いコードを書きたいと思いました。
CI/CD「健康診断」のススメ。現場でのボトルネック特定から、健康診断を通じた組織的な改善手法
CI/CD「健康診断」のススメ。現場でのボトルネック特定から、健康診断を通じた組織的な改善手法
自動テストやデプロイなど、今やCI/CDの導入は開発に不可欠だと思います。このセッションでは、CI/CDが「健康」な状態かどうかを診断し、改善していく手法が紹介されました。
特に注目すべき「健康診断」のポイントとして、以下の3つが挙げられていました。
- ワークフローの実行時間 実行時間が長すぎると、ビルド待ちで作業が止まってしまいます(例:実機で動作確認したいのにデプロイが遅い)。これが開発体験を大きく損ねる原因になる
- 実行回数 1日あたりの実行回数が少ない場合、自動化できていない手作業が多い可能性があり、業務フロー自体の見直しが必要かもしれない
- 成功率 不安定なテストがあると成功率は下がる。CIの信頼性を保つためにも、テストコードの定期的な見直しが重要
CI/CDが不健康な状態は、そのまま開発スピードの低下に直結します。私たちのプロダクトでも不安定なテストが存在しCIの成功率を下げているのですが、調査・修正工数の確保が中々できておらず、該当箇所をコメントアウトしてなんとか凌いでる状態でした。このセッションを聞いて「動いているからOK」とせず、CIを改善するための時間をしっかり確保するところから始めたいと思いました。
少人数体制を実現するモバイルアプリ開発のDevEx改善
DevEx(Developer Experience:開発者体験)の重要性とその改善策についてのセッションです。
セッションの中で特に印象的だったのが、「DevExの低下がもたらす負のループ」の話です。
DevEx低下 → 生産性低下 → 品質低下 → ストアレビュー悪化 → 売上低下 → 開発者の待遇悪化 …
このループに陥ると、最悪の場合サービス終了にもなりかねないというお話に、非常に共感しました。私自身、DevExの低下はプロダクトへの誇りや開発意欲の低下に直結すると強く感じていたからです。逆に、セッションで語られたようにDevExが高い状態であれば、開発者がプロダクトに誇りを持ち、課題を自分事として捉えられるようになるという点にも、深く納得しました。
DevExを向上させる具体的な施策として、以下のような例が挙げられていました。
- ビルド時間の短縮
- AI(GitHub Copilotなど)の積極的な活用
- 体調管理
- 業務としてカンファレンスに参加し、知識を吸収すること
まさに今回のiOSDC Japan参加もDevEx向上の一環なのだと再認識できました。少人数体制で開発を進める上では、ヒューマンエラーを減らす仕組み化と、こうしたDevExの維持・向上が不可欠だと強く感じました。
まとめ
今回のiOSDC Japanでは、様々なセッションを通じて、開発効率化からプロダクト品質の向上まで、幅広い知見を得ることができました。
特に、FormatStyleのような便利なAPIの活用法や、CI/CDの改善といった組織的なアプローチは、明日からの業務にすぐにでも活かせるヒントに満ちていました。
技術的な学びに加え、カンファレンス全体が「iOSエンジニアのためのお祭り」のような熱気に包まれており、初参加の私でも非常に楽しめました。
この経験を糧に日々の開発に励みたいと思います。来年もぜひ参加したいです。会場でお会いしましょう!
掲載内容は、記事執筆時点の情報をもとにしています。